宗教上の「あの世」と「VR世界」(V宗教学研究者 Unferthさん寄稿)


配信&記事「バーチャルを信じるものは救われる!? V宗教学研究者 Unfelthさんと激論メモ」で触れた、宗教上の「あの世」と「VR世界」の類似性について、ゲストのUnferthさんが更に深い洞察を記事にしてくれたので掲載します(≧∇≦)/




ーー(以下Unferthさんより寄稿)ーー




配信での中で説明が不足した部分があったので、文章で補足しておきます。

宗教上のあの世とVR世界

宗教上のあの世とVR世界は「同じである」というお話は配信でも触れました。

しかし本当にまったく、どの宗教のあの世とも同じなのでしょうか。

1.似ている部分

VR世界も一部宗教のあの世も共通して願いが叶えられる場所ではあります。

VR世界で(技術上の問題はあるにせよ)おおよそ自分の望む姿を取れたり、現実には再現不能な体験……たとえば原子核を直接もてあそぶという風なこともできます。

VR世界で現実の不足(身体障害、LGBT、外見上のコンプレックス等々)を解決できるという意味では、たしかにVRは「天国」ではあるのかもしれません。

2.似ていない部分

イエスは神の国(あの世)について食べ物に困らない場所であることを強調しています(マルコによる福音書 4章)。VR世界でも「食べ物」を増やすことは一応可能です。単純に食べ物のモデルを口に運んだり、あるいは現実の食べ物の大きさを錯覚を利用していじって満腹感を増やす等。

しかしVR世界だけでは飢饉や栄養不足は解決できないので(聖書が想定するのはそういう時代)、イエスの考える天国とは別物だと考えられます。

あるいはパウロはキリスト教徒には「永遠のいのち」が与えられると主張します(ローマ人への手紙 2章7節)。

深く考えずにこれを不死のことだと考えると、これもVR世界とは別物です。

VR世界に入ったりVRキャラクターを身にまとっても、寿命が無くなるわけではありません。寿命が尽きる・尽きないの問題は現実の体の方の問題です。

そして一番大きく違うのはブッダの「あの世」です。

彼は輪廻転生説をとっているので、あの世とはこの世です。死んだら生まれ変わります。

その上であの世に近いものは解脱、つまり「煩悩から解放されること」だと彼は主張します。

流石にこれは比較のしようがありません。VR世界に入っても煩悩は消えません。

3.結論

ではVR世界は天国とはまったく無関係なのでしょうか。

色々考えてみると、どうもこれは「宗教上のあの世と部分的に重なるもの」と考えるのが無難に思えます。

少なくとも、一般人が買える程度には安価なHMD、VRCやバーチャルキャスト等のVRアプリが普及しなければ「髪や服と言わず、姿全体を変えられる世界」というのは想像もつかなかったでしょう。

この辺は宗教が病を治す(魔除けの類や聖人が直接病を治す話)のに対して、科学も病を治すという点と似ています。

宗教のようにすべての病を治すというのは、現代科学ではまだ不可能です。

しかし、かつては死の病であった多くの病が現代では「治る病気」になっています。

それと同じようにVR世界は天国の一部を再現している……

部分的には天国に到達している、という所が落とし所かと思います。



ーー(以上Unferthさんより寄稿)ーー




(ねむ)
バーチャルは天国の再現! VTuberの特異性はキャラ単品だけでなく、考え方や世界観がついてくるところ、という私の考えに似ているところもあります。煩悩は超越した。。と言いたいところですが、世界中の人類を美少女にしてKKU(キャッキャウフフ)しない限り私の使命は終わらなそうです⚡⚡⚡⚡⚡(> <)

他にも聞いてみたいことがあったらTwitterでV宗教学研究者Unferthさんに聞いてみましょう!


放送本編の記事はこちら!


おしまい。